当院の脊椎センターについて

当院には脊椎疾患を専門に診る「脊椎センター」があります。首から腰にかけての痛みや手足のしびれを伴う疾患、骨粗しょう症による圧迫骨折、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、頸椎症などを対象に、症状や検査結果を総合的に診断します。まずは薬物療法・リハビリ・ブロック注射などの保存療法を行い、症状が強い場合や改善が見られない場合には手術も検討し、痛みや日常生活の改善を目指します。

当院の脊椎センターの特徴

①脊椎疾患治療に対する経験が豊富な医師による治療・手術

多くの治療実績を持った医師が、可能な限り手術後の痛みが少なく、体への負担が小さい施術を行い、また運動機能の早期回復ができるように努めています。
なお、難渋症例などに関しては、豊田医師、澤田医師が所属する大阪公立大学医学部附属病院整形外科と提携しながら最適な治療も対応させていただきます。

②充実した治療~リハビリテーション

脊椎の手術を行う方については、脊椎疾患治療に特化した医師とリハビリテーションチームが連携して診療~手術~リハビリテーションにあたります。
リハビリテーションに関しては、手術直後からの毎日(365日)のリハビリ提供により、元の運動機能レベルへの改善を目指します。
また手術をされた方へのリハビリでは、脊椎専門医師と綿密に連携を行い、最新の脊椎手術に対応できるよう、カンファレンスや研鑽を通してより良いリハビリの提供に取り組んでおります。

脊椎のリハビリテーションについてはこちら

③低侵襲手術の取り組み

背骨の手術は通常、皮膚や筋肉を切って開けなければ手術することはできませんが、大きく切ればそれだけ皮膚と筋肉に損傷を加えることになります。当院では適応可能な症例に関しては小さなキズで正常な筋肉のダメージを最小限に抑えることのできる低侵襲脊椎手術の取り組みを行っています。

低侵襲手術の一例
内視鏡下腰椎椎間板摘出術(MED)

内視鏡を入れ、手術する部位を映像で見て確認しながら、ヘルニアを取り除く手術を内視鏡下椎間板切除術(Micro Endoscopic Discectomy:以下MED)といいます。背中に2cmほど切開をし、目的の脊椎の位置に向かって筒を差し込み、そこから内視鏡や器具を挿入し、その筒の中で操作しながら手術を行います。

内視鏡とは、医療用のカメラ装置のことです。先端にレンズのついた細長い筒をカメラとライト装置に装着して体の外から差し込み、手術を行う部位を手術室に設置されたテレビモニターに拡大して映し出します。担当する医師、助手、看護師や麻酔医などスタッフ全員が同じ映像を見ながら、手術を進めることができます。

特徴
  • 1.小さな切開でカメラを差し込むため、傷跡が小さい(18~20mm)。
  • 2.背中の皮膚や筋肉の損傷が少ないため、術後の痛みが軽い。
  • 3.細菌感染の可能性が少ない。
  • 4.回復が早く、日常生活や仕事への復帰が早い。

手術翌日から起き上がり、2日目には歩行を行います。理学療法士などのリハビリスタッフによる訓練により、腹筋・背筋のトレーニングも早期から始めます。また、通常術後数日後におこなう抜糸が不要であることも利点です。
なお、内視鏡下腰椎椎間板摘出術(MED)の他に、顕微鏡下ヘルニア摘出術(MD)や直視下ヘルニア手術(Love法)を行なっており、患者様に一番適正な方法を選択しております。

経皮的椎体形成術(BKP)

当院では、圧迫骨折を治療するための最新の手術である「経皮的椎体形成術(BKP:Balloon Kypho Plasty)」を行っております。BKPは骨粗鬆症による脊椎圧迫骨折の患者さんが十分な保存的治療によっても背中の痛みが改善されない場合に適応される手術で、脊髄へバルーン状の器具を挿入して脊髄の幅を広げます。そこへセメントを流し固めることにより、もとの脊椎の厚さに戻すことができます。
全身麻酔による約20分程度の短い手術で、速やかな疼痛の軽減が得られます。切開箇所が小さいため患者さんへの負担も少なく(低侵襲)、不安定な骨をしっかり固めることができるので手術後すぐに痛みが和らぐことが特徴です。

特徴
  • 1.切開せずに針を刺すだけで行われるため、身体的負担が少ない。
  • 2.骨セメントを注入して骨を補強する方法をとるため、痛みをすぐに軽減できる。
  • 3.他の手術と比較し、手術後の入院期間も短く、早期に日常生活に戻れる場合が多い。
  • 4.セメントを注入することで骨の安定性を高め、脊柱の変形や再発を防ぐ。

診療の流れ

問診・症状確認

問診(患者さんの訴えや症状)や院内での検査をもとに、まずは患者様に現在の病状とこれからの治療方針をしっかりと説明させて頂きます。

検査(レントゲン、MRI、CTなど)

病状・治療方針の説明(症状の重症度、日常生活状況を考慮)

症状に関する患者さんの重症度や予想される経過、お仕事などの日常生活の状況などを考慮し、まずは保存治療(内服加療、リハビリ加療、ブロック注射等)および対症治療を行います。改善がみえない場合や、痛みやしびれなどの症状が大きくなってきた場合、患者さんご本人が希望される場合などは手術についてもご提案させていただきます。

保存治療(内服加療・リハビリ・ブロック注射等)

改善あり

継続経過観察

改善なし/症状強い/希望あり

手術検討

改善なし/症状強い/希望ありの場合

手術方針の決定(椎弓形成術・ヘルニア摘出術・低侵襲手術など)

手術を行う方針になった場合は、患者さんの症状と検査から、それぞれに合った種類の手術を決定していきます。
当院で施行している手術は、神経を圧迫している部位を確実に除去する椎弓形成術、顕微鏡や内視鏡を用いたヘルニア摘除術、さらに骨粗鬆症性椎体圧迫骨折に対する経皮的後方椎体固定術・椎体形成術やセメントを使用する経皮的椎体形成術などの低侵襲(手術による傷が小さく体への負担が少ない)な治療まで多岐にわたります。

手術施行

術後管理・リハビリ(早期離床、痛み管理、理学療法士と医師の連携)

術後は早期離床、早期社会復帰を目指し、痛みの管理をしっかりと行い、可能な限り患者さんの負担の軽減を図っております。リハビリテーション部の理学療法士と医師が連携し、より早く改善が見込めるようその方に合ったリハビリを提供します。

退院後フォロー(定期通院、外来リハ、画像・身体検査、社会復帰支援)

退院後は定期的に通院して頂き、外来リハビリテーションや画像検査、身体検査などを継続し、社会生活への復帰をサポートいたします。