肩関節センターについて

『肩関節センター』は、
肩の疾患・障害・外傷に対する専門の診療科です。

中高年者の肩の痛みの原因となりやすい肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)、インピンジメント症候群、肩関節拘縮、腱板断裂、また若年者の反復性肩関節脱臼、ルーズショルダー、投球障害肩などに対して保存治療、手術治療を行うほか、障害予防や能力向上に関する医学的側面からのアドバイスも行っています。
なお、肩の疾患はリハビリテーションなどの保存治療で改善が得られることが多いため、リハビリテーション部の理学療法士と密に連携し、まずはしっかり保存治療を行い、必要があれば適切な手術を提供しています。
また、肩骨部周辺の外傷(骨折等)も受け入れております。

対象疾患

  1. 腱板損傷・腱板断裂

  2. 肩関節拘縮(四十肩・五十肩)

  3. 変形性肩関節症

  4. 肩関節インピンジメント症候群

  5. 石灰沈着性腱板炎

  6. 反復性肩関節脱臼

  7. ルーズショルダー、投球障害肩

  8. 上腕骨近位端骨折

  9. 肩甲骨骨折

  10. 肩鎖関節脱臼 など

主な疾患

  • 腱板損傷・腱板断裂

    腱板断裂とは、肩甲骨と上腕骨をつないでいる腱板という板状の腱が切れてしまったものを言います。また、腱板損傷は同様に上記の部分が損傷した状態です。50歳前後を中心に多く発症します。 断裂の原因として、加齢と共に起こる腱の変性(特にきっかけがないもの)と、転倒・打撲などの外傷によるものがあります。加齢によるものは、日常的に肩をよく使う方や力仕事を繰り返している方に比較的多く、外傷によるものは転倒して手や肘をついたり、重いものを持ち上げようとしたり、肩を捻ったりなどをきっかけに発症する場合あります。

  • 肩関節拘縮

    肩関節拘縮とは、肩関節の疼痛と関節可動域制限を主な症状とする疾患です。 いわゆる四十肩・五十肩と呼ばれる炎症によるものや、転倒や打撲後の不動が原因で二次的に起こるものがあります。場合によっては痛みを伴います。 まずは保存治療(投薬、リハビリテーションなど)を行いますが、中には長期にわたり強い痛みと可動域制限が残存する場合があります。難治性のものについては、患者さんの希望(仕事や生活環境などを考慮)をお伺いしながら、場合によっては手術をお勧めすることがあります。

  • 反復性肩関節脱臼

    肩が何度も外れてしまう状態のことで、柔道やラグビー、スノーボードなどのスポーツで受傷することが多いのですが、スポーツ中に繰り返すだけでなく、寝返りや肩を挙げた時など日常生活の動作の中で、脱臼を繰り返す場合もあります。 肩関節を安定させるために覆っている関節包と呼ばれる線維組織・靭帯などの周囲の組織が、腕の骨(上腕骨)が脱臼を繰り返すことで、伸びてしまう(緩んでしまう)状態です。伸びた線維組織・靭帯組織や周囲の傷ついた組織が自然に元通り治ることはありませんが、多くの場合リハビリや投薬等などの治療によって数ヶ月の外来通院で症状が軽くなることが多いです。 しかし通院を続けても、肩のひっかかりによる痛みがとれない、関節包が緩んだ状態で力が入らず肩があがらないなどの場合には緩んだ関節包などの線維組織・靭帯組織を縫い縮める手術を行います。

  • 変形性肩関節症

    肩の軟骨がすり減ることで、肩の動きが悪くなっている、ごりごり音がする、肩を動かすと痛む、腕がスムーズに挙げられないなどの症状が起きることがあります。これらの症状がある場合は、肩の骨が変形している「変形性肩関節症」という病気が考えられます。運動療法で改善する場合が多いですが、それでもよくならない(軟骨のすり減りが著しい、骨棘が著しいなど)場合は手術(人工肩関節置換術)を行うことをおすすめします。

  • 外傷

    上腕骨近位端骨折、肩甲骨骨折、肩鎖関節脱臼など、スポーツや事故、転倒などでの強い外力による、肩から上腕にかけての骨折については、外来診療に限らず救急および時間外にて24時間対応しております。保存的治療、手術適応問わず、ご連絡いただけましたら迅速に対応いたします。

腱板損傷・腱板断裂の治療

  • 診断

    腱板断裂の診断は、問診、身体所見、および必要であれば画像検査(MRI撮影)を行います。
    MRI検査を撮影する場合は、予約制のため改めて検査予約をお取りします。

  • 治療方法

    腱板断裂の治療方法は、保存治療と手術に分かれます。
    まずは保存治療を行い、ステロイド注射や痛み止めの処法、またリハビリによる治療を行います。
    多くの場合、これらの方法で数か月の外来通院によって症状が軽くなります。

  • 手術療法

    通院治療を行っても、肩の引っ掛かりによる痛みが取れない場合、また肩が上がらない場合は手術をご提案しています。
    手術は、関節鏡視下手術での腱板をつなぐ手術、またはリバース型人工肩関節手術を用います。

    手術に関してはこちら

  • 手術後

    肩腱板断裂手術の患者さんは手術日を含めておよそ1週間の入院予定です。
    手術後は装具で固定しますが、入院中よりリハビリを行い、早期介入による改善を目指します。
    退院後は、術後4~6週間は装具で肩を固定しての生活となり、定期的に外来通院にて経過を確認・フォローさせていただきます。

    治療スケジュール