インタビュー

肩関節センター 市川 耕一

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インタビュー内容

医師を志されたきっかけを教えてください。

元々パイロットになりたかったのですが、理由があってパイロットにはなれませんでした。実は映画を見たのがきっかけで、感化されやすい自分がいました。今度は高校生のときに、テレビで小児科医の特集を見て「かっこいいな」と思ったのが、医師を志したきっかけです。

なぜ整形外科を選ばれたのでしょうか。

小児科の先生に憧れて医学部に入り医師になりました。元々ずっとスポーツをしていて膝、肘や肩を痛めるという経験をしました。子どもも大人も診られる分野を考えたときに、小児科では子どもに限られますが、整形外科はスポーツをやっている子どもからご老人まで全世代の患者さんを診ることができます。幅広い年代の患者さんの助けになりたいと思い、整形外科を選択しました。

なぜ肩を専門分野として選ばれたのですか。

いくつか理由がある中で一番大きな点は、小学校から野球をやっていたのですが、高校1年生の秋から高校2年生の夏まで肩を痛めたことで、ボールを1年間投げられませんでした。その間代打ばかりで悔しい思いをし、肩に対する思い入れがあったので、整形外科の中でも肩を専門分野にしました。

医師の仕事のやりがいは何でしょうか。

一般的な話になりますが、自分が治療した患者さんが笑ってくれること、「先生に治してもらって良かった」と言ってもらえることが医師にとっての一番のやりがいです。

佐野記念病院で働く魅力は何ですか。

善し悪しはあると思いますが、恐らくこの地域では一番忙しくて患者さんも多いハードな病院だと思います。当然しんどい時もありますが、一番の仕事の魅力は患者さんに笑ってもらうことなので、ハードで忙しい分、笑いや喜びに出会う機会も多いと思います。やはりしんどいことをしないと、楽しいこと嬉しいことには出会えません。そういう意味ではしんどさの向こうの喜びに出会えるチャンスは溢れているのかなと思います。

診療をする上で大切にしていることは何ですか。

患者さんとの距離です。私は医療の家庭ではなく一般の家庭で生まれ、お医者さんはものすごく遠い存在でした。お医者さんの言うことは絶対で、わからなくても怖くて聞き返せませんでした。できるだけそうならないように、医療用語を使わず、わかりやすい言葉を使うようにしています。患者さんがわからないのは、うまく説明できていない医師側の問題だと思います。わかってもらえることによって初めて医療は進みます。そこで大事になるのが距離感です。常にこちらが患者さんをわかってあげられているかを注意しています。日本の診療の技術や薬は信用していただいて全く問題ないと思いますので、患者さんに信頼してもらった上で医療ができているかがポイントになると思います。

患者様との印象に残るエピソードがあれば教えてください。

他の病院で病状が思わしくなく難しいと断られた患者さんが、困っているということで来院されて、実際治療に効果があったときに、非常に感謝していただきました。当然民間の病院なので対応しきれないことはありますが、患者さんが困っている状況に、自身ができることをやって解決できたことに対して、感謝してもらえたことは嬉しかったです。

どのような患者様が来院されますか。

色々なタイプの患者さんがいらっしゃいます。肩外来なので当然「肩が痛い」と来院される方が多いです。首や他の部位に原因があって、結果として肩に症状が出ている方もよくいらっしゃいます。あと他の病院ではなかなか良くならず、セカンドオピニオンを求めて来院される患者さんも多いです。近隣の方には「佐野記念病院には肩専門の先生がいる」と少しずつ認知されてきています。

肩の治療の流れを教えてください。

まずは問診。どういった経緯で肩が痛くなったのか、どういった痛みなのか、病態を判断するためにまず最初に話を聞かせていただきます。次に身体所見。どのぐらい動くのか、どのぐらいの筋力なのかなどを測らせていただきます。問診と身体所見で大体の病状の候補は絞られますが、検査が必要な患者さんには、画像検査やレントゲン検査、またCT検査やMRI検査、さらに造影検査など様々な検査がございますが、順を追ってより詳しく調べさせていただきます。

どのような症状があれば受診すべきでしょうか。

受診のタイミングの判断は難しいと思います。痛みへの許容範囲には個人差があります。軽微な症状から重度な症状まで様々なタイミングで来院されます。治療をする側からの意見にはなってしまいますが、なるべく早期に来ていただく方がいいです。診療費などコストは発生してしまいますが、来院が遅れたことで手遅れになってしまうこともあります。少しでも異変を感じた場合や引っかかることがある場合は、早めの受診をおすすめいたします。気軽な気持ちでご相談ください。

治療における取り組みについて教えてください。

個人としては最新の知識を身につけるよう努力しています。学会に行ったり、論文を読んだり、若い頃からいろんな先生方とコミュニケーションを取る機会が多かったため、先生方に教えていただいたり、常に患者さんに還元できる最新の知識や技術を身につけるようにしております。医師ひとりで、医療をしているわけではありませんので、看護スタッフや診療スタッフと連携しています。肩はどちらかというとマイナーな専門分野になりますので、佐野記念病院のどのスタッフが対応させてもらっても、対応できるように知識を共有する取り組みをしています。

好きなことやリフレッシュの仕方、休日の過ごし方などを教えてください。

基本的には体を動かすことが好きだったので、今まではスポーツがメインでした。最近は年齢的に走るのもしんどくなり、趣味の釣りに行ったり、山歩きが好きなので近所の山を歩いたりしています。天気が悪い時は、食べるのが好きなので家でご飯を作って、料理を家族に食べてもらったりしています。

治療を検討されている患者様に向けてメッセージをお願いします。

肩というのは非常に大事な関節です。なぜかと言うと、肩の先に手がついているからです。肩を痛めると手が使えなくなってしまうなど、思ったよりも状況が悪化しやすくなりますので、早めに受診していただくのをおすすめします。五十肩等の一般的な症状の中にも病気が隠れていたりしますので、気軽な気持ちで相談しに来てください。